本日はついに脱穀です!!
って、「脱穀(だっこく)って何なの?」と思われるかもしれません(^^;;
そうなんですよね……お米の収穫作業で「稲刈り」は有名なのですが、この「脱穀」はあまり知られていません。
そこで、「お米の脱穀とは何か?」について、お話ししていきたいと思います。
脱穀とは稲から籾(モミ)を外す作業
ブログをご覧いただいてありがとうございます! 「農マドワーカー」の泉林です。
インターネットを使った仕事をさせていただきつつ、大阪の郊外で農薬や肥料を使わないお米作りをさせていただいています。
そして、僕のお米作りの特色は、農薬・肥料を使わないだけでなく、“天日干し”をしているとものです。
この“天日干し”については後ほど詳しくお話ししますが、この“天日干し”した稲に脱穀の作業をして、お米にしていくのです。
つまり、脱穀とは、刈り取った稲から籾(モミ)を外す作業のことを言います。
脱穀の様子を動画で解説!
と言っても、これだけではわからないと思うので、脱穀の様子を動画で撮影しました。1分と少しの長さですので、よかったらご覧ください(^^)
こんな風に、刈り取った稲から、籾(=お米の実)だけを外していくのです。
ちなみに、籾(モミ)の外側の殻を外すと玄米になります。
- こうやって籾から玄米にする作業を「籾摺り(モミスリ)」
- さらに、玄米から白米にする作業を「精米(セイマイ)」
と言います。
現代ではあまり見られない脱穀作業
「ん? でも、こんな光景あまり見かけないんだけど?」
「お米の収穫って、稲刈りだけなんじゃないの?」
と思われるかもしれません。
はい……おそらく、現代の日本のほとんどの方が、脱穀の光景は見たことがないでしょうし、「稲刈り=お米の収穫」と思われているでしょう。
それもそのはず。この脱穀の作業をしている農家さんは、今ではほとんどありません。というのも、現在は稲刈りと脱穀を同時に済ませてしまう機械があるからです。
その名もコンバイン。
「コンバイン」の由来とは?
By katorisi (Own work) [GFDL or CC BY 3.0], via Wikimedia Commons
このコンバインは、どなたでも見たことがあるでしょう(画像はWikipediaからお借りしました〜〜)。稲刈り作業の光景で、テレビでもよく登場しますが、このコンバインは稲刈りと同時に脱穀もやってしまうんです。
そもそも「コンバイン」という名称は、英語の「combined(結合された、結びついた)」から来ていて、「稲刈り」の機械と「脱穀」の機械を結合したという意味なんです。
自脱型コンバインは、稲や麦を刈り取りながら脱穀する機能を備えた農業機械である。旧来、稲刈りは鎌による手刈りやバインダーと呼ばれる刈取り専用の農業機械で行い、その後脱穀機やハーベスターで脱穀していたが、自脱型コンバインはその一連の収穫作業を一台の機械で行えるようにした。刈取機と脱穀機を組み合わせたその構造から combined、すなわちコンバインと呼ばれる。
ですから、よく見られるコンバインの稲刈りの時に、実は脱穀も同時に行われていたということなんです。
お米ができるには八十八の手間がかかる
ですが、元々は「稲刈り」と「脱穀」は別の作業でした。
- 稲を刈り取って
- 束ねて干して
- 2〜3週間ほど天日干しして
- そのあと脱穀する
という工程を踏んでいたのです。
「え? そんなに沢山の作業があるの?」と思われるかもしれませんが、実はお米になるまでには、まだ他の工程もあります(籾摺り、精米など)。
ここではそこまでは踏み込みませんが、「米」という字は「八十八」という字に分解できて、「お米ができるまでには88もの手間がかかる」という話もある通り、本当に沢山の工程があるのです。
ですから、「お米の収穫」というのは本来「稲刈り」だけではなく、先ほどの「天日干し」や「脱穀」の作業も含まれていたということなんです。
お米を乾燥機にかける?!
今ではコンバインという機械の登場によって、この過程がショートカットされました。
ですが、我が家ではできる限り昔のお米作りに近づけたくて、稲刈りの後に天日干しして、そして時間を置いて脱穀の作業をしています。
それはなぜかというと、天日干しの方が美味しいから♪
先ほどコンバインは「稲刈りと脱穀を同時にする」とお話ししましたが、そうやって収穫された籾(モミ)は乾燥機にかけられます。
「え? お米に乾燥機?!」
と思われるかもしれませんが、洗濯物を乾かすのにも似た感じで、収穫したお米を乾燥させるんです。
なぜかというと、刈り取った直後のお米は水分をたくさん含んでいて、そのまま出荷すると腐りやすくなってしまいます。
ですので、保存できるようにするために、乾燥させて水分を飛ばすのです。
お米が美味しくなる天日干し
ですが、当然のことながら、電気やガスのなかった時代には乾燥機はありません。となると、使えたのは自然のチカラだけでした。
すなわち、太陽の光や風の力を使って、刈り取った稲を乾かしていたんです。
それが天日干しの工程でした。
そして、この天日干しの期間にも、刈り取った稲はまだ生きているので、その養分をお米に流していきます。
更に、太陽と風の力で2〜3週間かけてじっくり乾燥されるので、品質の劣化も少なくなるのです。
乾燥機での乾かす場合は、一晩とか短い時間で一気に乾燥させます。
確かに水分のコントロールがしやすいですし、効率的ではあるのですが、急激な変化のためお米自身には負担が大きいもの。また、稲の茎や葉っぱの養分が流れ込むこともありません。
ですので、天日干しをした方がお米は美味しいと言われているのです。
今でも僕の近所の農家さんの中には、「出荷用のお米は乾燥機だけれど、自分の家で食べるお米は天日干しをしている」というところもあるくらいです。
▼天日干しの工程はコチラ

天日干しの仕上げが脱穀
そうやって自然の力を活用しながら時間と手間をかけ、稲刈りと天日干しをしたあと、最後に行うのが今回の「脱穀」の作業になります。
いわば、天日干しで美味しく熟したお米を最後に仕上げる作業でもあるのです。
(↑以前の脱穀の様子です)
正直なところ、今年(2017年)の稲刈りはとっても大変でした。
- 雨続きで思うように稲刈りが進まなかったり……
- 台風が二度もやってきたり……
- 稲刈りと天日干しの時期である10月がほとんど雨!という天候にもなり……
ハラハラドキドキの中で進めてきました。
ですが、ここ一週間ほどは天気に恵まれ、ようやく稲も乾いてきました。そんなわけで、今日はいよいよ最後の「脱穀」に移れるわけです。
まだ「本当にお米が無事なのか?」や「どんな味に仕上がっているのか?」はわからないのですが、この収穫の仕上げである脱穀に精一杯取り組みたいと思います!