僕は昔「チョコミントアイス」というものが理解できなかった。
- こってり系の代表格であるチョコ
- さっぱり系の局地とも言えるミント
この二つを混ぜて同時に食べるのは、“異様”としか思えなかったからだ。
だって、
- チョコを食べようとしているのに、口の中には超さっぱりとしたミントの香りが広がり
- ミントを食べようとしているのに、こってりとしたチョコの甘味と食感がやってくる
というのは、人間の行動として全く一貫していない。
完全に“矛盾”である。
しかも、それを冷やして食べるなどというのは、全くもって意味がわからない。
そう。僕にとってチョコミントアイスとは、この世で最も“矛盾”した物体のだったのだ。
だが、そんな忌み嫌うべき物体を、僕に食べさせた人物がいた。
妻、である。
まだ結婚する前、お付き合いしたての頃だったろうか……大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ遊びに行ったとき、アイスを食べることになったのだ。
人気アトラクション『JAWS(ジョーズ)』のそばにある『アミティ・アイスクリーム』にて、あろうことか彼女はチョコミントを注文したのである。
まだお互いのことを良くわかっておらず、「ここは無難にシンプルに!」と思ってバニラを注文した僕とは対照的に、妻(当時は「彼女」)は“矛盾”のシンボルであるチョコミントを頼んだのだ。
「ありえない」
と、僕は心の中でつぶやいた。
それはもちろん、チョコミントアイスという物体に対してだ。
だが、チョコミントアイスを食べようとする彼女に対しても、疑念と矛盾の念を抱かずにはいられなかった。
「この人も……ありえない」
そう思ってしまった。
しかも、更に有り得ないことに、彼女は そのチョコミントアイスを僕にも勧めて来たのだ。
「チョコミント、美味しいよ!」
「一回、食べてみなよ!!」
……と。
しぶしぶ僕はチョコミントアイスを、小さなスプーンでひとすくいし、口の中に入れた。
感想は
「やっぱ ありえへん!」
であった。
「なんじゃ? このスッキリとコッテリが同時に襲ってくる感じは?!」
「どっちの味を味わったらええんか、全然わからん!」
「しかも、両方が激しく自己主張してて、なんかもう口の中が混乱してる!」
「もはやカオス!!」
というのが、彼女とのデートで初めてチョコミントを食べた感想であった。
だから、僕は思った。
「この人の感覚が、全く理解できない」
「この人との付き合いは、そう長くは続かないだろう」
……と。
そして、あれから10年以上の月日が過ぎた。
不思議なもので、これだけの年月を経てから、僕は同じ人と同じ場所で、チョコミントアイスを食べている。
“矛盾”のシンボルであったチョコミントアイスは、やはり大きな“矛盾”を生み出したようで……
「この人の感覚が理解できない」
「永くはお付き合いできない」
と思っていた人と僕は結婚し、初めてチョコミントアイスを食べたユニバーサル・スタジオ・ジャパンの『JAWS』のそばで、再びチョコミントアイスを食べたのだ。
これを、“矛盾”と言わずして何と言おうか・・・。
しかも、あろうことか、そこには僕たち二人だけではなく、その子どもまでいるという。
その子どももいつの間にか4才になっているという。

さらに、3人それぞれに好きなものを注文した上に、妻はやっぱりチョコミントアイスを注文したので、カップの中がわけわからなくなっているという。
「やっぱカオスやん!」
と、僕は心の中で大きく叫んだのだが、
- この叫びの大きさこそが幸せの大きさなのだと
- この“矛盾”と“カオス”こそが幸せの源泉なのだと
深く深く悟ったのである。

……というわけで、今日は家族3人でUSJに遊びに行きました♪
とっても楽しかったです(* ̄▽ ̄*)
そして、最後は飲み干す。。。